No.66『なぜ、時間を生かせないのか』 田坂広志
仕事を「かけがえのない人生の時間」にするための心得を説く
かけがえのない人生をいかに生きるか
引用したい言葉がてんこ盛り
時間を活かすための問い方を学ぶ。
著者と本の紹介
著者の田坂広志さんは、多摩大学教授でソフィアバンク代表をしておられる方。
専門は社会起業家論で、良質なビジネス書の書き手です。
今日ご紹介する本は、6年前に出版されたもの。Amazonでももう新刊で手に入れることはできません(中古で安く手に入れられます)。
しかしこの本にはかけがえのない「時間」についての金言がいっぱいです。
時間を無駄にしてるな・・・と感じてる方へ。
本の内容
【目次】
第序話 なぜ、時間を生かせないのか―心得
第一話 いかにして「時間」を使うか―密度
第二話 いかにして「集中」をするか―夢中
第三話 いかにして「智恵」を学ぶか―感得
第四話 いかにして「経験」から学ぶか―反省
第五話 いかにして「反省」をするか―意味
第六話 いかにして「人間」から学ぶか―師匠
第七話 いかにして「自分」を見つけるか―個性
第八話 いかにして「関係」を築くか―自立
第九話 いかにして「成長」をするか―課題
第十話 いかにして「成功」を得るか―一瞬
終 話 かけがえのない「人生の時間」―覚悟
この本はよくあるタイムマネジメントのテクニックを書いた本ではありません。
かけがえのない「人生の時間」をいかに過ごすかについての心得を書いた本です。
「これからの時代には、時間を大切にして自己研鑽に励まなければ、競争に勝てないし、生き残れない」
時間は「資源」。昨今のタイムマネジメントについてのビジネス書に書いてありそうなことです。しかし著者はこのような考え方をしていては、本当の意味で「時間を生かす」ことはできないといいます。
なぜなら、「時間」とは、「単なる「資源」という意味を超えた「素晴らしい何か」だから」。「人生の時間」というものを本当に生かすためには、この言葉の意味を深く掴む必要があります。
そのためにはどうすればよいか。
「人生の時間」を処する「心得」を身に付けることです。
上の目次にあがっているのが、その10の「心得」。
少しだけ、ご紹介しましょう。
第一の心得 いかにして「時間」を使うか
著者によれば、タイムマネジメントのテクニックは以下の3つに集約されます。
1.以下にしてまとまった時間を生み出すか。
2.いかにしてこまぎれの時間を活用するか。
3.いかにして効率的・効果的に仕事を進めるか。
しかしこういった小手先の技術を学んだだけでは、時間を使えるようにはなりません。なぜなら、これらのテクニックはすべてすでに一流になった人が実践していることであり、一般の人がそのまま真似したところで基礎体力がないため、まるで使えないからです。
では、タイムマネジメントにおける基礎体力とは何か。
それは、集中力です。「時間は、誰にも平等に与えられている」という言葉は正しくありません。集中力を持つ人の過ごす時間は、そうでない人の数十倍の密度を持っています。同じ長さの時間を過ごしたからといって、同じ時間を過ごしたとは限らないのです。
ではどうすれば集中力を鍛えることができるのか?
第二の心得 いかにして「集中」をするか
集中力をつけるための3つの心得です。
1.「基本の心得」・・・「体を鍛える」
2.「修練の心得」・・・「集中的に仕事をする」
3.「リラックス」をする
「体を鍛える」は、物理的にトレーニングするという意味だけではありません。「知的体力」をつけるということも意味します。
「知的体力」をつけるには、ひとつの仕事に対して、気を抜かずに全身全霊で取り組むことを続けることです。
逆にだらだらやっていると、「知的体力」は無残に低下していきます。
残業していつも無駄に帰りが遅くなっている人、いませんか?
一部の過酷な労働環境にいる方を除いて、残業する=仕事ができない人であることの証拠です。
この本には、短いけれど胸を刺す警句がたくさん載っています。その内容はタイムマネジメントにとどまらず、仕事全般、そしてこれからの人生を考える上で非常に役に立ちます。
この本の最後に書かれている部分を引用します。
気がつけば、無為に時を過ごしてしまう。
そして、その無為に過ごした時を悔いる。
それは、なぜでしょうか。
「努力」が足りないからでしょうか。
そうではありません。
それは、
「努力」が足りないのではない。
「覚悟」が足りないのです。
〜中略〜
「なぜ、時間を生かせないのか」という問いは、究極、
「いかに生きるか」という問いに他ならない。
すべての生きる人々へ贈りたい、そんな一冊です。
【評価】
【星5つ★★★★★】・・新書の最高ランク。読まないと損するレベル。
【評価の理由】
私自身、この本には大きな影響を受けました。今日またこの文章を書くにあたって読み返してみて、いかに自分が時間を無駄にしてるかを反省したところです。
すべての人に、お勧めします。
仕事を「かけがえのない人生の時間」にするための心得を説く
かけがえのない人生をいかに生きるか
引用したい言葉がてんこ盛り
時間を活かすための問い方を学ぶ。