No.52 『ザ・ゴール』 エリヤフ・ドールドラット
著者と本の紹介
お久しぶりです。lifecoachです。
試験のため、1ヶ月もご無沙汰してしまいまして申し訳ありません。
またこれから『読むだけで「あなたの」人生を充実させることができる良書』をどんどん紹介していこうと思います!
著者のエリヤフ・ゴールドラットはイスラエルの物理学者。彼は工場を経営していた知人から生産スケジューリングの相談を受けた際に、物理学の研究から得た知識を駆使して解決策を編み出しました。
それが、本書で紹介されているTOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)です。
物理学から生まれた理論と聞いて、一瞬難しいと思われるかもしれません。それよりも、この本の分厚さにはもっと引かれるかもしれません(笑)
しかしストーリー仕立てでハラハラドキドキできるよう上手に仕組まれた本書は、そんな印象も吹き飛ばして読者をのめり込ませてくれます。
そして読み終わった後にはいつの間にかTOCの理論の基礎が身についているという、素敵なおまけつき。
それでは、TOCのエッセンスを少しだけご紹介しましょう。
本の内容
【目次】
1 突然の閉鎖通告
2 恩師との邂逅
3 亀裂
4 ハイキング
5 ハービーを探せ
6 つかの間の祝杯
7 報告書
8 新たな尺度
物語は、主人公であるユニコ社工場長のアレックスが、突然本社から採算悪化を理由に工場閉鎖を告げられるところから始まります。タイムリミットは3ヶ月。3ヶ月後までに結果を出せなければ、アレックスのみならず工場の職員は皆路頭に迷うことになります。
工場が抱える問題は、納期の大幅な遅れ、そしてそれによる赤字。
納期の遅れは深刻で、注文から3ヶ月経っても完成しないのは当たり前、半年待たせているという有様でした。
そんな中、アレックスは大学時代の恩師である物理学者、ジョナと再会します。
ジョナはアレックスに工場についていくつか質問した後、アレックスの「ロボットを入れることで生産性が向上した」という発言に対してこういいました。
「言ってみたまえ、生産的であるとはいったいどういう意味なんだね」
アレックスは従業員ひとりあたりの付加価値・・・といいかけますが、ジョナは「そんなのは本当の生産性ではない」といいます。
「生産的であるということは、自己の目標(=ゴール)と照らし合わせて何かを達成したということなんだよ。違うかい?」
そう、ロボットを導入することでアレックスの工場は生産性が上がったように思われました。しかし実際にはロボットが担当する部分の生産性が上がっただけで、「注文された商品を完成させる」というゴールは達成されていなかったのです。一部の生産性が上がっただけでは仕掛品が増えるだけだったからです。
その後ジョナの助言を受けながら、アレックスは劇的に成果を出していきます。それまで納品に3ヶ月以上かかっていたのが、6週間ですむようになりました。しかしそこにまたトラブルが降りかかります。工場に新たな問題が発生し、さらにはアレックスの奥さんまでが・・・
TOCの概要
ステップ1:ボトルネックを見つける。
ステップ2:ボトルネックをどう活用するか決める
ステップ3:他のすべてをステップ2の決定に従わせる
ステップ4:ボトルネックの能力を高める
ステップ5:ステップ4でボトルネックが解消したら、ステップ1に戻る
ポイントは、「一連の工程において、目標の達成はボトルネック=一番弱い部分に依存する」ということ。
「鎖の強度は、一番弱い鎖によって決まる」のです。
おそらくいきなりボトルネックがどうたらと言われてもわからないかもしれませんが、この本を読めば必ずわかるようになっています。
TOCにおける「全体最適」という考え方は決して工場の生産性を向上するためだけにしか使えないわけではありません。
物事を考えるときのフレームワークとしてどんなことにも応用できます。
この本を読んだ後、きっとあなたの思考プロセスは変わっていることでしょう。