No.25 『社長よりも偉いもの 新卒に見捨てられた会社の復活の物語』 西澤亮一
著者と本の紹介
著者は株式会社ネオキャリア代表取締役の西澤亮一さん。ネオキャリアはメディア事業・人材紹介事業・クレドコンサルティング事業を展開する会社です。
この会社の特徴は「クレド」の作り方を広めているところでしょうか。
「クレド」をご存じの方もいるかとは思いますが、簡単に説明させて頂きます。
「クレド」とは、組織のビジョンを具体化した行動指針のことです。リッツカールトンが有名ですね。
ちなみに私は少しだけリッツカールトンで働いていたことがあるので、リッツの本物のクレドを持っていたりします。
この本をご紹介することはすなわちネオキャリアという会社を宣伝することになるのですが、悔しいことに(笑)物語がよくできてるんです。
クレドを作りたいと思っている会社の人はもちろんのこと、どん底からはい上がるサクセスストーリー好きなあなたは、きっと楽しめますよ!
本の内容
この本の舞台は「テクノマスタ」という社員数50名ほどのウェブ広告の会社。いきなり採用した新卒の8割が2ヶ月で辞めるという異常事態から、物語ははじまります。
社長の三宅は新人の集団辞職事件の原因が分からず、頭を抱えます。そんなときにふと知り合いがやっている、今急成長中の会社のことが思い浮かび、アドバイスを受けようとその会社を訪問します。
会社の中に入ると、三宅は自分の会社とは違う雰囲気に気づきます。社員は気軽に声をかけ、挨拶もきちんとし、何より元気そうです。はたして何が違うのか・・・不思議に思いながら、三宅はこの会社の社長、岩渕と食事に出かけました。
岩渕は新人の扱いについてひととおり説明をした後、三宅にこういいました。
「新人は察しているものなんですよ。
この会社には”芯”があるかどうかってね」
”芯”とは会社が掲げるビジョンのこと。このとき三宅は岩渕から「テクノマスタのビジョンはなにか?」と聞かれましたが、曖昧にしか答えられませんでした。
テクノマスタにははっきりとしたビジョンというものがなかったのです。
三宅は、今すべきことは明確でないビジョンをはっきりと定めることだということに気づきました。
しかしここからが一苦労。一体ビジョンとはどうやって定めればいいのか?三宅は苦悩します。
社員と面談し、創立時のメンバーと議論し、少しずつ先が見えてきます。しかしそこに今度は有能な社員の突然の退職。
さあ、果たしてテクノマスタはどうなるのでしょうか?
まだこの本を読む前でしたが、私が取締役に就任して真っ先にしたことは、会社の経営理念の明文化でした。まずはそれまで何となくの雰囲気でしか存在しなかった理念を私が言語化しました。そして取締役全員で議論しながら文言を取捨選択し、その過程で、経営陣が目指すべき方向をはっきりと見定めることができました。
完成した経営理念は、現在額に入れて従業員とお客様のみえるところに飾っています。
クレドも作ろうかな、と思いましたが、時間がなかったので現在保留中です。
さて、この本ですが、これから大きくなりそうな会社にありがちな社員の不和・新人の不定着にどう対応したかが具体的に書かれているため、ベンチャー企業の社長さんにはもしかしたら絶大な効力があるかもしれません。
あと今勤めている会社の雰囲気が何となく悪いな、と感じている人にもオススメです!