No.42 『はじめての課長の教科書』 酒井穣
初の「課長総論」といえるのではないでしょうか
徹底して“現実主義”なところが面白い!
プレイングマネージャーの指南書
中間管理職(課長・係長)になったときにサッと読む本
著者と本の紹介
酒井穣(さかい・じょう)さんは、オランダでベンチャー企業を創立し、現在はCFO(最高財務責任者)として活躍する方。MBAも持っておられます。
この本は著者が課長という、組織において中間的な地位にある立場の人について書いた本。
経営者のための本や会社員全般について書かれた本というのはたくさんありますが、課長に着目して書かれた本というのはそうありません。
しかし課長というのは組織の要。
上と下をつなぐ存在である課長が上手く機能するかでその組織の成果は決まると言っても過言ではありません。
課長に求められる役割は何なのか、課長はどうあるべきなのか。
課長のみならず、組織の一員たる人すべてに読んで欲しい一冊です。
本の内容
【目次】
第1章 課長とは何か
第2章 課長の8つの基本スキル
第3章 課長が巻き込まれる3つの非合理なゲーム
第4章 避けることができない9つの問題
第5章 課長のキャリア戦略
課長として最も大切な仕事はなんでしょうか?
本書によれば、それは「部下のモチベーションを管理する」ことです。
すなわち、マネジメントが課長の仕事なのです。
第2章の「課長の8つのスキル」とは、部下のモチベーションを管理するために課長が身につけるべき具体的なスキルについて述べた章。今回はこれについて少しだけご紹介します。
スキル1:部下を守り安心させる
スキル2:部下をほめ方向性を明確に伝える
スキル3:部下を叱り変化をうながす
スキル4:現場を観察し次を予測する
スキル5:ストレスを適度な状態に管理する
スキル6:部下をコーチングし答えを引き出す
スキル7:楽しく没頭できるように仕事をアレンジする
スキル8:オフサイト・ミーティングでチームの結束を高める
8つのスキルをまとめて言えることは、「課長は部下のモチベーションが上がるような環境を作り、そして部下のモチベーションが上がるような態度を取らなければならない」ということでしょう。
そのためにどうすればいいか、8つのスキルはとても具体的に教えてくれます。
特に難しい「叱り方」について4つのフェーズに分解し、各フェーズでどうすればいいかを紹介する箇所はあらゆる部下を持つ人必見です。
フェーズ1:事実関係を確認する
フェーズ2:問題に至った原因を究明させる
フェーズ3:部下が気づかなければ、直接原因を伝え、部下を叱る
フェーズ4:感情のフォローアップをする
ダメな上司は、大抵まずフェーズ2から入ります。
「なんでそんなことしたんだ!?」
どういう事情があったかを確認せずに頭ごなしに言ってしまうと部下は反発が先に立ってしまうため、その後の対策や原因究明に十分に頭が回らなくなってしまいます。
叱るときは、まず何があったかを把握すること。そしてその後できるだけ部下自らに原因を究明させること。
以上のことを覚えてるだけでも、ずいぶんと無駄な感情のもつれを減らすことができますね。
アルファブロガー小飼弾さんも「今、読むことを最も課したい一冊」と激賞しているように、この本は組織に所属する、そしてこれから所属する人にとって必読だと思います。
初の「課長総論」といえるのではないでしょうか
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